はり灸・井穴刺絡・良導絡・気功・吸い玉など手技療法を組み合わせ自律神経のバランス調整を行います
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歩くと腰が痛くなってくる
72才男性。経営者で時々現場を歩くが10分も歩くと痛くて一休み。
同じ姿勢で立っているときも痛みが出る。
痛みは腰の左側(志室付近)にでて、起立筋も左がやや凝っているように思われる。
事務仕事は大丈夫で平常は全く痛みは出ない。
6年ほど前に狭心症でバイパスの大手術をした。
左の脛内側と左腕の内側から血管を取ったため、
共に30㌢ほどの手術跡。胸は胸骨先端からお臍までの手術痕。
ゆっくり歩くと痛くなるが早足なら大分歩けるともいわれる。
パトリックテストで左脛の手術痕に引きつる痛みが出るだけで他には出ない。
爪先立ちも腿を挙げても痛みはない。腰の各種運動でも痛みは出ない。
初回から4回目まで、井穴刺絡をはじめ吸い玉治療、良導絡治療
手術痕の圧痛点治療をする。
自律神経と体性神経(経絡)の両方からのアプローチでしたが
「会社で歩くとやはり痛む」と全く改善なしでした。
その間にも肩こりや目の疲れ呼吸、腹診で分かる限りの改善効果は出ている。
5回目、初心に返り一からお話を聞き直した。
痛くない歩き方はスーパーの買い物に付き合ってカートを推しながらあるくとき。
イスに腰掛けるときにやや前屈みが楽だ。
10分ほど歩いて膝に手を当て前屈みで休むと楽になる。
痛みは鈍痛でしびれも伴ってくる。
朝より夕方になると痛みが出やすい。
整形でX線を取り骨には異常ないと言われ2ヶ月通っての来院。
・・・・以前来院された脊柱管狭窄症の患者さんと同じ症状だった。
その患者さんは病院の薬と鍼灸で急速に楽になったので
総合病院での再度検査をお勧めしました。
2日後、前と違う病院で相談したら
そこまでやって改善がないのならMRIを取って診ましょう。
内臓も考えないといけないでしょう・・といわれ安心したようなお声でした。
井穴刺絡研究会でぎんなん先生が「患者さんの話をよ~く聞くように・・」
と何回も何回もお話しされているのに、
今回は患者さんのお話を半分も聞いていなかったのか?
大きな手術痕に目がいってしまったり改善の目安を探しすぎたり
大失敗でした。症状の把握ができていなかったのが一番の反省でした。
5回を目途に改善の程度をみましょう・・・と最初にお話ししてあったので
患者さんもご自分の様子を詳しく表現してくれたのだと思います。
先ず患者さんのお話を良く聞いて(話して貰って)、
今日一番辛い症状は何か?
どんな時にその症状が出るのか?
どんな態勢で症状が出るのか?
・・・・・聞いて聞いて、話して貰って・・・
初心に帰ります!